
Haus Researchが2026年9月2日、AI検索の引用がどれだけ根拠として機能しているかを調べた監査結果を公開しました。技術系企業210社について310問(設立年、資金調達、従業員数、最低価格、本社所在地、売上、セキュリティ事故、現CEO、買収、SLA)をPerplexityの2モデルに温度0で投げ、付与された引用マーカー2,511件のうち数字を含む文に付いた1,826件を対象に、引用先ページを実際に取得して検証しています。結果は34.7%が失敗。内訳は、ログインや有料の壁で読者が開けないページが16.1%、開けるのに当該文中の数字を一つも含まないページが16.1%で、リンク切れは1.3%に過ぎませんでした。合格の基準は「文中の数字のいずれか1つがページ本文に現れること」と極めて緩く、年号1つでも通ります。それでもこの数字です。
失敗の分布が示唆的です。従業員数(82.0%)や設立年(75.0%)は比較的よく、現CEO(44.3%)と本社住所(53.0%)が最も悪い。著者は「誰もが繰り返すが誰も公式には書かない」種類の事実ほど、モデルが世間の合意を再生産したうえで、それを載せていないページを指す傾向があると分析しています。実例として、DockerやSubstackなど4社の本社住所をWikipediaの記事に帰属させているが、どの記事にもその番地は書かれていない、というケースが挙げられています。主張と引用が同じ生成過程から出ており、それは検索ではない、という指摘です。学術情報基盤の観点から重く受け止めたいのは最後の節でしょう。引用先URLを無作為に1,500件Wayback Machineで調べたところ、25.1%は一度も保存されていませんでした。ディレクトリ系のページに限れば39.3%です。ページが消えても文と引用マーカーは残り、失われるのは検証する手段だけ、と著者は書いています。データと収集スクリプトはCC BY 4.0で公開されており、追試が可能です。なお本調査はOpenRouter経由のsonar/sonar-proを対象としており、Perplexityの消費者向け製品とは設定が異なる点、主張の真偽ではなく引用が根拠として機能するかを測っている点には留意が必要です。