
欧州委員会が2026年8月31日、ChatGPTをデジタルサービス法(DSA)における「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定しました。AIサービスがDSAの最上位区分に入るのは初めてです。委員会はChatGPTを、利用者のプロンプトに応答しウェブを検索できる「ハイブリッドサービス」と位置づけ、規制上は検索エンジンとして機能すると結論づけました。OpenAIの開示によれば、EU域内の月間利用者数は2026年3月までの半年平均で約1億5,900万人。DSAは域内で月4,500万人を超えるサービスを対象とします。同時にRedditとRobloxが超大規模オンラインプラットフォームに指定され、最上位区分は計28件になりました。3社は11月末までに、違法コンテンツ・未成年保護・利用者の心身の健康・基本的権利・選挙プロセス・公共の安全を対象とする年次のシステミックリスク評価、独立監査、規制当局および認定研究者へのデータ提供に対応する必要があります。違反時の制裁金は世界売上の最大6%です。
技術的には、この指定の根拠が「ウェブを検索して答える」という動作にある点が重要でしょう。生成AIとしてではなく検索エンジンとして捉えられたわけで、RAGのように外部情報を取り込んで応答する仕組みを持つサービスは、同じ論理で規制対象になりうることになります。当部門の関心に引きつけるなら、認定研究者へのデータ提供義務は注目に値します。これまで事業者の内部にしかなかった大規模AIサービスの利用実態データが、研究目的で参照できる道が開かれる可能性があるからです。DSAはこれまでに約8億7,000万ユーロの制裁金を科しており、実効性は既に示されています。一方で米政権はEUの執行姿勢に反発しており、今回の指定が通商上の摩擦に発展する可能性も指摘されています。日本国内のサービスに直接の効力はありませんが、規制の考え方は各国に波及しやすく、動向を追う価値があります。